なぜ易疲労対策から始めるのか

高次脳の方の就労準備で一番最初に取り組むべきは易疲労対策です。

 

 よく高次脳の症状の説明で注意障害、記憶障害、遂行障害、社会的行動障害、易疲労というように羅列的に列挙してあるものを見かけます。私はその位置づけに疑問を持っています。易疲労は高次脳の色々な症状の一つという説明でいいのだろうか。

f:id:dragonofficekun:20220313195614j:plain

 易疲労は高次脳の色々な症状の一つではなく、これらの諸症状に根底部分で影響を与える要素ではないだろうか。並列関係ではなくピラミッド構造の一番底の部分にある要素ではないだろうか。

 ラスク研究所の神経ピラミッドの一番底辺にある「神経疲労・覚醒・心的エネルギー」という部分が易疲労なのではないかと私は思っている。ラスク研究所の図はここでは引用しないが、高次脳の症状がどのような順序で回復していくのか、ということの説明で使われていると聞いている。易疲労が回復していくと発動性も上がり、次に注意力・集中力も回復し、情報処理速度も上がり記憶も向上し、そして遂行機能も上がっていく。気づきはリハビリの最終段階で得られる可能性のある最も難しい課題であるとされる。

 易疲労を理解するもう一つのモデルとして「車のバッテリー」モデルがある。

f:id:dragonofficekun:20220313201123j:plain

 易疲労は脳のバッテリーが小さくなり、消耗しやすくなり、充電しにくくなった状態である、ととらえる。だから易疲労は車の性能(注意、記憶、遂行、感情コントロールなど)を大きく左右する。だから易疲労は「脳のエネルギー問題」である。

 だから私は高次脳の方の就労準備でまず第1に取り組むべきは易疲労対策であると主張しています。「易疲労の位置づけを変えよう」というのが私の就労支援の最初の主張です。

f:id:dragonofficekun:20220313201938j:plain

 

高次脳の後遺症を知ろう

1 高次脳の方が就労準備として

      取り組むべき3つの課題

 高次脳の方が復職・新規就職のための準備として取り組むべきことは次の3つです。

 (1)体力·集中力の向上(易疲労対策)

 (2)後遺症を知る(高次脳の理解を深める)

 (3)後遺症をカバーする方法を身につける 

 最初は体力・集中力の向上に重点を置きますが本命は後遺症を知ることです。

 なぜなら高次脳の方の就労上の最大の困難点は病識を持ちにくいことだからです。手や足の麻痺なら以前の体とは違うことが分かります。言葉が出にくい失語症なら以前と違うことが分かります。しかし目に見えない高次脳機能障害は自覚することがたいへん難しいのです。

f:id:dragonofficekun:20220311181329p:plain

病識の持ちにくさ


 
高次脳の支障の自覚のないまま就労するとミスを連発したり体験したことのない疲れにおそわれたりします。アポを忘れたり仕事上の失敗を重ねたりします。職場での評価が下がり叱責され自信を失い退職を余儀なくされたりします。自分を責めたり周囲に八つ当たりしたりすることが増えてしまいます。こうしたことを予防するために「病気や怪我によってどんな後遺症が起こっているのか」を知ることが高次脳の方の復職・新規就職の準備として最重要な課題となります。

f:id:dragonofficekun:20220311181534p:plain

f:id:dragonofficekun:20220311181633p:plain


2 後遺症を知るための3つのプログラム

 私が顧問をしている就労移行支援事業所では後遺症を知ることを目的に次の3つプログラムを大事にしています。

 (1)個別相談 (2)作業 (3)グループワークGW

この3つがトライアングルになって高次脳の理解を進めていきます。

f:id:dragonofficekun:20220311203023p:plain

 

3 職場で現れやすい後遺症

 

 私は高次脳の方に向けて「復職教室」や「グループワーク」のプログラムを行っています。その中で以下の表をお見せして「高次脳の方が職場に戻った時に現れやすい症状がいくつかあります。人によって現れる症状は違います。ご自分にも起こりそうだなと思うものがありますか。」と考えていただいています。

 

  表 職場で表れやすい症状(高次脳による支障)  

                  ※人によって様々です

 

  ① 聞いたり話したりすることが苦手になる

  ② 同じことを何度も聞く

  ③ 大事なアポを忘れる

  ④ ミスをくりかえす

  ⑤ 仕事が遅くなる

  ⑥ 同時に複数の仕事をこなすのが苦手になる

  ⑦ 仕事の段取りや計画をたてるのが苦手になる

  ⑧ 臨機応変な対応が苦手になる

  ⑨ 検品や細かい確認作業が苦手になる

  ⓾ 疲れやすくなる

  ⑪ 怒りっぽくなる、泣きやすくなる、落ち込みやすくなる

  ⑫ 相手の気持ちをさっするのが難しくなる

  ⑬ 左側を見落とすことがある

  ⑭ 数字を間違えやすくなる

 

 人によって5つ選んだり1,2つ選んだり反応は様々ですが、「3つにしぼって下さい」とお願いしています。なぜそう思うのか、エピソードも語っていただきます。作業場面でこんなことがあったとか、家でこんなことがあったと具体的な例をあげていただきながら話していただきます。

 グループワークですと、他の人の発言から自分にも思い当たることがあるとか、話が広がっていきます。復職教室ですと同席されたご家族から家でのエピソードをお聞きすることもあります。

 後遺症を知る。いきなり「どんな後遺症がありますか」と聞くよりも上の表のように具体例を示しながら聞く方が考えやすくなります。そして考える材料は日常生活や作業の中での経験です。

 

模擬会議  議事録の精度をあげる

 模擬会議では毎回やった会議の内容を議事録にまとめてもらいます。

次回の模擬会議の冒頭で各自の議事録にざっと目を通してもらいます。

「他の人の議事録でこれはいいなと思ったところはありますか?」

 ・簡潔で分かりやすい

 ・表を使っていて見やすい

 ・記憶力がすごい

「自分の議事録で何か気がついたことはありますか?」

 ・署名を忘れた

 ・記憶が落ちている。会議直後に書かないとダメだ

 ・勘違いがあった

 ・抜けがあった

などといった感想が出てきます。他人の議事録のよい所を取り入れたり自分の議事録の改善点に気づいていただけるように議事録のふりかえりを会議の最初に行っています。

 

 模擬会議が進んでいくと会議の論点、決まったこと、保留されていること、次回の論点など議事録の内容もより高度なものが要求されるようになっていきます。議事録の作成は模擬会議には欠かせない内容です。

 自分の議事録の精度をよりあげていくために模擬会議の後半では、次のようなセルフチェックを行っていただいています。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

   自分の議事録をセルフチェックしてみましょう

 

  月  日の議事録について   名前 (         )

 

   チェ ッ ク 項 目

 採点

1 日付・参加者名が正しく書いてある

 

2 議事録の作成者の名前が書いてある

 

3 読みやすいように段落分けや番号振りをしてある

 

4 各自の提案内容が適切かつ簡潔にまとめて書いてあ

  る     

 

5 会議での質疑、意見が適切かつ簡潔にまとめて書い

  てある

 

6 次回の各自の課題が適切に書いてある

 

7 自他の振り返りが(特に自分の振り返り)書いてあ

  る

 

8 誤字脱字がない

 

9 数字の書き間違いがない(お金の単位など)

 

10 聞き取り間違い、思い違いがない

 

        合     計

 

採点基準  3: ほぼできている  

      2: まあまあできている

      1: あまりできていない

 

セルフチェックをして気が付いたこと

 

 

 

 

 

 

会議の場で現れる高次脳機能障害

 模擬会議の場で現れやすい高次脳機能障害があります。

 

 記憶障害

   ・自己紹介で同じことを繰り返して言う

   ・前回の会議の内容をすっかり忘れている

   ・直前の他人の発言に引きずられて以前の自分の発言と違うことを言

    う

 

2 注意障害

   ・議事録作成で文字や数字の書き間違いをする

 

3 数字を扱うのが苦手に

   ・暗算がスムーズに出来ない(ワーキングメモリーの低下の影響)

   ・会議の中で数字情報を素早く引き出せない

   ・会議が進む中で与えられた前提条件(金額や数)を適切に想起して

    情報を統合して考えられない

 

4 聞きながら考えたりメモをとったりするのが難しい

   ・一度に複数の情報処理が難しい

f:id:dragonofficekun:20220225164533p:plain

5 聞き落としや誤解

   ・注意容量の低下、ワーキングメモリーの低下の影響

 

6 注意の切り替えが難しい

   ・気になることや同意できないことがあるとその後の会議の流れに乗

    れなくなる

   「ハツカネズミのように同じ所をどうどうめぐりする」

   「ドブ川のようにゴミがひっかかると流れなくなる」

   「情報の上書きができない」(参加者の振り返りの言葉)

 

7 話がかみあわない、話のポイントがずれる

   ・会議の全体構造の把握が困難でポイントがずれた発言になる。

   ・簡潔に発言することが難しい。また、複数のポイントを話すために

    話の筋がそれやすい。

   ・資料作成にストーリーがなく、分かりづらい資料となっている(構

    成能力の低下)。話を分かりやすく組み立てることが難しい。

   ・司会の役割をうまく進行できない。

f:id:dragonofficekun:20220225164827p:plain

8 社会的認知の低下、感情的になる

   ・他人の発言にうなずいたりしない。聞き手の反応に無頓着で他人の

    発言をあからさまに否定する。会議の沈黙に気がつかない。

   ・怒りを感じたり、落ち込んだりする

 高次脳のある人の新規就職の課題と支援(全2回)オンライン講座

(講座No.4)高次脳のある人の新規就職の課題と支援1 

    開催日時:2/26(土)   15:30 17:00  オンライン

 1 就活開始の3つの判断材料

 2 易疲労対策から始めよう

 3 就活開始の最終判断は情緒の安定

 4 高次脳の気づきこそ就活成功のカギ

 5 支援者がその人の高次脳を知る方法

 6 ご本人の気づきを促す3つの支援

    

(講座No.5)高次脳のある人の新規就職の課題と支援2  

    開催日時:3/5 (土)15:30 17:00     オンライン 

 1 3つの職種から志望を選ぶ

 2 カミングアウトの是非

 3 いくら稼ぎたいかを決める

 4 求人票の見方のポイント

 5 面接虎の巻 これだけで準備OK

 6 働く現場の情勢 4つのトピックス

         

【演 者】:大場龍男

   :1956年生・社会保険労務士京都大学経済学部卒、

   横浜市総合リハを経て現職は川崎市北部、中部、南部リハで

   就労アドバイザー。

   『高次脳機能障害のある人への復職・就職ガイドブック』

   (中央法規、共著)他

【参加費】900円(同一講座再受講者、学生:500円 高校生以下:300円)

*後日、指定口座へのお振込みとなります。

お申込み】先着10名様 *下記をご記入の上、右のアドレスにお申込みください。

  →  松田啓一(クオルトン研究所)  fink4043@yahoo.co.jp

①希望講座のNo. ②氏名 ③電話番号 ④所属 

⑤立場【支援者・家族・企業・一般・学生】から1つ選択

*例えば、障害があっても企業等のお立場なら「企業」を、施設利用中や在宅の方なら「一般」をご選択ください。

⑥任意記入事項:支障なければ、障害のある方やそのご家族は障害者手帳の種別

【身体・知的・精神】

 

 

高次脳機能障害の気づきを促す模擬会議プログラム(1)

 高次脳機能障害の方の復職や新規就職を難しくする要因の一つに「病識の持ちにくさ」がある。心理検査や職業検査の結果を示しても実際の職場では大丈夫であると主張されることが多い。私が勤務する就労移行支援事業所では作業を体験していただいたり、グループワークに参加していただく中で高次脳の気づきを促す支援をしている。

 今回はそのグループワークの一つ、模擬会議について紹介する。

 

1 模擬会議の概要

 (1) 模擬会議の目的

  会議という場を経験することで自分に起こっている障害についての

  理解を深め、障害を補う方法を習得する。

 (2) 参加者

  高次脳機能障害や身体障害が職務に影響を及ぼすことが想定される方

  今後の職務で会議参加が想定される方

 (3) 内容

  初回     オリエンテーション、自己紹介

  第2回~6回 テーマに沿った会議の実施

   議事録、提案書の作成、司会や書記も体験

 

2 模擬会議のテーマ

    A社の福利厚生のための組織「親交会」の新給付事業について

 (1)A社の概要と会議参加者の設定

  • 従業員総数は100名
  • 会社は5つの課から構成されている
  • 1つの課に20人の社員がいる
  • 社員の年齢構成

   20代   20%

   30代   30%

   40代   30%

   50代以上 20% 

  • 社員の男女比率と既婚率 

   男女比率(男 40%、 女 60%)

   既婚率 (男 40%、 女 50%)

  • 参加者は各課の親交会委員

(2)親交会の概要

  • 親交会は社員の福利厚生のための自主的組織
  • 入社と同時に強制加入
  • 全社員から毎月2000円の会費を給料から自動引き落とし
  • 親交会給付事業は資料1のとおり
  • 積立金がこの30年間で300万円たまっている

(3)会議の議題

 積立金を有効活用するために

  • 現行の給付事業の見直しを行う
  • 新給付事業のアイデアを出す

※ 検討の3つの視点: 社員のニーズにあう、社員に喜ばれる、新しい

 

3 親交会の給付金一覧

種    別

給    付    事    由

給付額等

出産祝金

職員・配偶者が出産したとき

20,000円

入学祝金

職員の子が小・中学校に入学した時

20,000円

結婚祝金

職員が結婚するとき

(ただし、既に結婚祝金の給付を受けた者を除く)

30,000円

結婚記念祝金

 

会員が結婚して24年たったとき

(ただし勤続3年以上に限る)

10,000円

災害見舞金

水害・地震・火災その他の災害により住居・家財に損害を受けたとき

100,000円

以内

弔 慰 金

職員が死亡したとき

100,000円

配偶者が死亡したとき

50,000円

父母・子が死亡したとき

20,000円

その他の家族(同居)が死亡したとき

10,000円

葬儀補助金

職員・家族が死亡し、装具、霊柩車を使用したとき

(葬儀執行者に限る)

50,000円

療養見舞金

職員が同一疾病について1月以上療養したとき

30,000円

 

永年勤続者

 

祝金

勤続 5年

勤続10年

勤続15年

勤続20年

勤続25年

勤続30年

10,000円

20,000円

40,000円

50,000円

70,000円

100,000円

退会記念品代

在会1年につき5,000円(商品券)

5,000円

以上

備考   災害見舞金の給付額は会長が別に定める。

職員レク

補助事業

各課における会員相互の親睦のためのレクリエーション等を推進するため、各課に一人8,000円を支給する。

 

脳卒中や交通事故で会社を休職中の皆さまへ

  人生の途上で大きな病気や怪我をされ懸命な治療とリハビリを経て退院の日を迎えられた皆さま、お疲れさまでした。自分の体がどうなってしまうのか、自分や家族の生活はどうなってしまうのか、たいへんな不安な日々だったことと思います。

 

 病院では主に家庭に帰るための訓練をされてきたと思います。病院ではまだ復職を意識した相談や訓練はされてこなかったでしょう。「これから始まる在宅生活で復職に向けてどんな準備をしていったらいいのか」、退院の時に病院から何かお話がありましたでしょうか。もし、何のお話もなくて今後の見通しをお持ちでない方がいらっしゃいましたら、復職支援アドバイザーをしている私からいくつかアドバイスをさせていただきます。

 

1 安定した在宅生活を送る

 働くための基礎は安定した在宅生活です。生活リズムを整える、家事の役割を持つ、散歩をする、テレビや新聞を見る、買い物をする、交通機関を使って外出する、喫茶店などに入る、図書館を利用するなど、働く前に出来ていた在宅生活がどのぐらい送れるのか、確かめてみましょう。

 

2   高次脳機能障害についての検査や訓練を受けてみる

 脳卒中やけがによって高次脳機能障害が残ることがあります。易疲労、記憶、注意などの機能が低下して日常生活や労働生活に大きな影響を及ぼします。高次脳機能障害について知ったり訓練を受けることは復職の準備でたいへん重要です。リハ病院の外来診療を受けてみましょう。また高次脳障害者支援センターに出かけて復職の準備のために利用できるサービスがあるか聞いてみるのもよいでしょう。高次脳機能障害の家族会に参加して先輩たちの経験を聞くのもよいでしょう。

 

3 職業検査や職業相談を受けてみる

 病気やけがによってご自分の職業能力が影響を受けていないか、職業検査によって知る。また、今後の復職の準備の進め方について相談をしてみましょう。職業検査や職業相談は障害者職業センターリハビリテーションセンターの就労支援部門などで受けることができます。柴本礼『高次脳機能障害の夫と暮らす日常コミック 日々コウジ中』(主婦の友社、p80~)に障害者職業センターのことが出てきて参考になります。

 

4 生活訓練や就労系の障害福祉サービスに通う

 自宅にいるだけではフルタイムで働くための体力や集中力はもどってきません。やはり週3~5日通う所を作りましょう。生活訓練や就労移行支援という障害福祉サービスがあります。就労移行支援ではいくつかの作業が用意されています。内職仕事のような軽作業やPC作業などがあります。ご自分のやっていた仕事とは違うと抵抗を感じる方もいらっしゃいます。しかし、これらの作業はご自分に起こっている後遺症の影響を知るための材料にするとよいでしょう。集中力、指示の理解、処理速度、作業の手順の記憶、マルチタスクをこなせるかなど、目的意識を持って就労系のサービスを使うことをおすすめします。

 なお、会社を休職中の人は就労系の障害福祉サービスを利用できないという誤解があります。厚労省からの事務連絡で可能となっていますのでお近くの福祉事務所に利用の相談をして下さい。

 ※平成29年3月30日付け事務連絡「平成29年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A(平成29年3月30日)」の問12参照

 

5 会社とやりとりをする

 就労系の施設に通い始めた時には会社に一報を入れておきます。次に会社と連絡を取るのは遅くても休職期限の3~6カ月前ぐらいの時期にします。復職の準備状況を報告し復職の意志を伝えましょう。この時期にはご本人が自分の後遺症についてある程度理解していることが望ましいです。自分に出来ること、苦手になったこと、会社で配慮してほしいことを説明できるようになっていると会社側も対応がしやすくなります。

 ご本人の同意を得たうえで会社側が求める場合には就労系のスタッフが作業の様子や配慮点などを説明することもできます。この最初の会社との復職の打ち合わせの後、何度かやりとりがあり、最終的には主治医の意見書を提出し、産業医との面談を経て復職の可否が会社判断でなされていきます。

 

6 復職できるかは時の運もある

 どんなに努力しても復職できるとは限りません。その方の後遺症の重さ、それまでの貢献度、会社の体力、その時の景気、職場の人間関係、職務変更の可能性など様々な要因で復職の成否は決まります。

 たとえ駄目だったとしても「やるだけのことはした」という実感が持てれば次の一歩を踏み出せます。一緒に頑張ってきた家族、スタッフや仲間がいた方が落ち込みから再び立ち上がりやすくなります。どうか一人だけで復職に取り組まず、同じ当事者の人たちとも出会いながら、私たちのような復職支援をしているスタッフを見つけて下さい。私たちは皆さまに出会うことを待っています。