なぜ易疲労対策から始めるのか

高次脳の方の就労準備で一番最初に取り組むべきは易疲労対策です。

 

 よく高次脳の症状の説明で注意障害、記憶障害、遂行障害、社会的行動障害、易疲労というように羅列的に列挙してあるものを見かけます。私はその位置づけに疑問を持っています。易疲労は高次脳の色々な症状の一つという説明でいいのだろうか。

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 易疲労は高次脳の色々な症状の一つではなく、これらの諸症状に根底部分で影響を与える要素ではないだろうか。並列関係ではなくピラミッド構造の一番底の部分にある要素ではないだろうか。

 ラスク研究所の神経ピラミッドの一番底辺にある「神経疲労・覚醒・心的エネルギー」という部分が易疲労なのではないかと私は思っている。ラスク研究所の図はここでは引用しないが、高次脳の症状がどのような順序で回復していくのか、ということの説明で使われていると聞いている。易疲労が回復していくと発動性も上がり、次に注意力・集中力も回復し、情報処理速度も上がり記憶も向上し、そして遂行機能も上がっていく。気づきはリハビリの最終段階で得られる可能性のある最も難しい課題であるとされる。

 易疲労を理解するもう一つのモデルとして「車のバッテリー」モデルがある。

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 易疲労は脳のバッテリーが小さくなり、消耗しやすくなり、充電しにくくなった状態である、ととらえる。だから易疲労は車の性能(注意、記憶、遂行、感情コントロールなど)を大きく左右する。だから易疲労は「脳のエネルギー問題」である。

 だから私は高次脳の方の就労準備でまず第1に取り組むべきは易疲労対策であると主張しています。「易疲労の位置づけを変えよう」というのが私の就労支援の最初の主張です。

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