「早く復職したい」人への対応の原則

 本人が「早く復職したい」と不安や焦りを募らせている場合、どういった対応が効果がありますか。

 

 会社を休職している高次脳の方の中には、病識の持ちにくさもあって十分な復職の準備もしないまま「早く復職したい」と焦って行動してしまう人がいます。

 例えば、急性期の病院から回復期の病院に移った直後に、「こんなことはしていられない、会社に戻る」と言って病院を抜け出して自宅に帰ってしまう人もいます。

 あるいは休職期間がたっぷりあって支援者は生活訓練を経て就労移行で復職の準備をしてもらおうと考えていても、ご本人は早く復職したくて会社に復職したいと何度も連絡していて会社でも対応に困る人もいます。

 

 「早く復職したい」と焦っている人への対応には原則があります。

 

  1 止めない

  2 会社に連絡をとってもらう

  3 ご本人、会社、支援者の3者で打ち合わせを行う

 

 まず、支援者が止めても効果はありません。支援者との関係を悪化させるだけです。ご本人は先が見えなくて不安にかられて焦っているわけですから、会社に連絡してもらってかまいません。ご本人、会社、支援者の3者が一堂に会して打ち合わせを行うのが一番すっきりします。

 ご本人は今の自分の気持ちを会社に伝えます。支援者からはリハビリの現状と今後の支援プランを伝えます。会社はほぼ支援者のプランに賛成してくれます。会社からは「焦らずにしっかりリハビリをして戻ってきてくれ」と言われます。ご本人はしぶしぶ会社の指示に従います。ご本人にとっても会社の意向を知ることができ、それなりに今後の見通しも持てたので落ち着くことができます。今までの支援の仕切り直しができて復職の準備に取り組めるようになります。

 なかにはご本人ぬきでご家族、支援者と病院、会社で打ち合わせをしたいと言ってくる会社があります。ご本人ぬきではだめです。そんな手間をかけてもよいことはありません。ご本人、会社、支援者の3者が一堂に会して打ち合わせを行うのが一番すっきりします。