職場で現れやすい高次脳の後遺症

 私は高次脳の方に向けて「復職教室」や「グループワーク」のプログラムを行っています。その中で以下の表をお見せして「高次脳の方が職場に戻った時に現れやすい症状がいくつかあります。人によって現れる症状は違います。ご自分にも起こりそうだなと思うものがありますか。当てはまりそうなものに〇をつけて下さい」と考えていただいています。

 

  表 職場で表れやすい症状(高次脳による支障)  

                  ※人によって様々です

 

  ① 聞いたり話したりすることが苦手になる

  ② 同じことを何度も聞く

  ③ 大事なアポを忘れる

  ④ ミスをくりかえす

  ⑤ 仕事が遅くなる

  ⑥ 同時に複数の仕事をこなすのが苦手になる

  ⑦ 仕事の段取りや計画をたてるのが苦手になる

  ⑧ 臨機応変な対応が苦手になる

  ⑨ 検品や細かい確認作業が苦手になる

  ⓾ 疲れやすくなる

  ⑪ 怒りっぽくなる、泣きやすくなる、落ち込みやすくなる

  ⑫ 相手の気持ちをさっするのが難しくなる

  ⑬ 左側を見落とすことがある

  ⑭ 数字を間違えやすくなる

 

 人によって5つ選んだり1,2つ選んだり反応は様々ですが、「3つにしぼって下さい」とお願いしています。なぜそう思うのか、エピソードも語っていただきます。作業場面でこんなことがあったとか、家でこんなことがあったと具体的な例をあげていただきながら話していただきます。

 

 ご家族が一緒に来ていたら、ご家族にも答えてもらっています。私たちは、ご家庭での様子を知らないので、そういう意味でとってもいいんです。

 

 グループワークですと、他の人の発言から自分にも思い当たることがあるとか、話が広がっていきます。

 

 職場に戻った時に自分にどんな後遺症が出てきそうかを考えてみる。いきなり「どんな後遺症がありますか」と聞くよりも上の表のように具体例を示しながら聞く方が考えやすくなります。そして考える材料は日常生活や作業の中での経験です。

 自分にも仕事上で何か問題が起こりそうだと予想ができると、その対策方法を知りたいとか、対策方法を身につけたいと思うようになります。何らかの準備をしてから復職をしようと思うようになります。

9月は就労移行支援にとって特別な月

「9月末までになんとか一人は就職させてください」

就労移行支援で働いている人は管理者からこんなプレッシャーを

かけられることもあるでしょう。

 

なぜ9月末までなのか?

    なぜ就職者を出さないといけないのか?

 

来年の就労移行支援の基本報酬が9月末までの就職者数で決まるから

就職後6か月以上定着した者の数で来年の基本報酬が決まる。10月から

3月までで6カ月、10月就職では3月までで5カ月なので日数が足りない。

だから来年度の基本報酬は9月末までの就職実績で決まるルールだ。

 

令和3年の改訂で「前年度の」就職実績から「直近2か年度の実績」に変更

されたが9月の重要度は変わっていない。

就職者数によってどのぐらい基本報酬に差が出るのか?

 

定員20名の就労移行支援事業所で調べていこう。

単位は1級地から7級地、その他の8区分がある。例えば、東京23区は1級地で1単位が11.18円、町田や横浜は2級地で10.94円、その他は10円である。単純に考えるために1単位10円で考えていこう。

上の図で20人定員の就労移行支援では5割以上は10人の就職、0割で0人ということになる。就職者0人では来年の基本報酬(利用者1人が1日通所した時の報酬額)が4680円、

2人就職で5570円、4人で6900円ということになる。10人で11280円。0人と10人では実に2.4倍の差を付けている。

 

毎日20人が通所して1か月20日開所していたとして月間の基本報酬を計算してみよう。

   468単位の場合:4680×20×20=187万2千円

  1128単位の場合:11280×20×20=451万2千円

 

私の経験ではコンスタントに1年で4~5人就職させていくことはかなり頑張らなければならない。1年で2~3人の就職を目指すのが無理のない取り組みだろう。施設運営的には7000~8000円の基本報酬が欲しいところだろう。

 

 

B型よりも低い就労移行支援の報酬設定はペナルティか

 

気になるのは就労移行で就職者0人や1人の場合の基本報酬がB型よりも低いことだ。

定員20名の就労継続B型の基本報酬は以下の表のようになっている。

B型の40%は工賃1万円未満、約25%が1万円以上1.5万円未満だ。

B型は566単位や590単位の所が多いということになる。

一方で就労移行支援事業所では0人:468単位、1人509単位、2~3人で557単位。

4~5人でようやく690単位でB型よりも高くなる。1年で3人ぐらいしか就職させられない就労移行支援事業所はB型に代わったらどうですかと言われているようなものだ。

 

日本の福祉サービスに導入されたインセンティブ

 

私が障害者福祉の世界に入ったのが1983年だった。当時は措置費の時代で施設体系も更生施設、授産施設、福祉工場に分かれていた。施設定員にお金が支払われる時代で、通所施設では来ても来なくてもお金が支払われた。障害者を社会に出している施設も何もしていない施設も入ってくるお金は同じだった。

 

私が衝撃を受けた挨拶をした厚労省の課長がいた。1988年1月の全国施設長会議で当時の障害福祉課長の浅野史郎氏が次の発言をしたのだ。

 

「1年間に施設から社会に出る人は100人に1人、1パーセントにすぎない。あなた方は専門家として恥ずかしくないのか」

 

私は「よくぞ、言ってくれた」と胸がすく思いだった。しかし、施設の仕組みが変わるのには更に長い月日が必要だった。

 

2003年に支援費制度になり、2006年から自立支援法となった。施設体系は日中活動と施設入所に分かれ、更生施設は生活介護と自立訓練、授産施設は就労移行と就労継続B型、授産工場は就労継続A型となった。

 

そしてついに障害福祉の世界にインセンティブが導入された。

①来た利用者にしかお金は出さない

②就職させたらお金を加算する、逆に就職させないと減算する

 

厳しくなる就労移行支援の運営 

 

私はフリースクールの卒業生が利用する就労移行支援支援にアドバイザーで関わっている。プラスとマイナスのインセンティブをかけられた就労移行支援の運営は大変だ。

さいわい経営陣が経理を公開して「〇人就職させないと赤字に転落する」とか発信してくれているので、運営の目標が共有されている。

 

就労移行の適性規模も検討して20人定員から減らす対策も取っている。B型も合わせて運営している。就職の準備の整った利用者から実習や職場見学、面接練習を行うようにしている。スタッフにとっても無理のない目標、1年に2~3人の就職をめざしてアドバイスをしている。

 

復職支援に関わる重要な3つの通達

会社を休職中の人が障害者総合福祉法の就労系サービスを使えるか、

ある条件を満たせば使えます。支援者が知っておくべき厚労省の3つの通達を

紹介します。

 

1 休職者は就労系福祉サービスを利用できるか

 

2 復職者を一般就労した者としてカウントが可能か

 

3 復職した者が働かない日に就労系福祉サービスを利用できるか

 

 

1 休職者は就労系福祉サービスを利用できるか

 

 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉

 平成 29 年3月 30 日付け事務連絡

 「平成 29 年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A

                    (平成 29 年3月 30 日)」問12

 

2 復職者を一般就労した者としてカウントが可能か

 

 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉

 平成 30 年4月25 日付け事務連絡

 「平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A

                    (平成30 年4月 25 日)」問1

 

3 復職した者が働かない日に就労系福祉サービスを利用できるか

 

 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉

 平成19年12月19日事 務 連 絡

 障害福祉サービスに係るQ&A(指定基準・報酬関係)

                 (VOL.2)の送付について

 

 (問8)

 一般就労に移行した利用者が、当該就労を行わない日に日中活動サービス

 を利用することはできるか。

 (答)

 1.基本的に、障害福祉サービス事業所等の利用者が一般就労へと移行した

 場合、その後は日中活動サービスを利用しないことが想定されている。

 

 2.しかし、現実としては非常勤のような形態によって一般就労する利用者も

 おり、このような利用者については、一般就労を行わない日又は時間に日中活

 動サービスを利用する必要性がある場合も考えられることから、以下の条件を

 満たした場合には、日中活動サービスの支給決定を行って差し支えないことと

 する。

 

 (1) 一般就労先の企業の中で、他の事業所等に通うことが認められている場合

 (2) 当該利用者が日中活動サービスを受ける必要があると市町村が認めた場合

 

 3.この件については、特に日中活動サービスを受ける必要のない者もいると

 考えられることから、各市町村は利用者の状態によって、その必要性について

 精査した上で、決定しなければならない。

 

復職支援 会社あての手紙

私は会社を休職中の方に就労移行支援事業所で復職支援をしています。

復職支援の内容は大きくは、①ご本人向けの支援と②会社とのやりとりの支

援に分かれます。

 

 1 ご本人向けの復職支援

  ・通所することによって体力、集中力を向上させる

  ・作業を体験する中で後遺症の影響を知る

  ・後遺症の代償手段を身につける

 

 2 会社とのやりとりの支援

  ・いつ頃に会社との連絡をとるのか

  ・いつ頃復職したいのか

  ・何を会社に伝えるのか

 

 この2番目の会社とのやりとりの支援は休職期限の遅くても6カ月前ぐらいには始めたい。1番目のご本人向けの支援が半年程度は進んでいて、ご本人も体力に自信がつき、ご自分の後遺症について理解が出来るようになっていることが望ましい。復職の準備状況をご本人がある程度説明できるようになっている必要があります。

 

 会社と正式に復職の話し合いをすることを私は「ファーストコンタクト」と呼んでいます。単なる近況報告ではなく「復職の話を進めたい」「自分としては〇〇頃に復職したいと考えている」と会社に伝えるための接触です。

 

 ファーストコンタクトのアポイントメントはご本人が会社に電話をして行う。

その時に就労移行支援事業所から会社あてに次のような「復職支援のサービスのご案内」の手紙を出すことがあります。

 

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                          令和 年 月 日

〇〇〇株式会社

人事部 ご担当者様

                         △△△就労センター

                         施設長 〇〇 〇〇

 

   貴社社員 〇〇様に関する当センターのサービスのご案内

 

 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

突然のご案内で恐縮ですが、当センターは就職や復職を目指す障害者の方々に就労支援を行う施設で、法律上は障害者総合福祉法に基づく就労移行支援事業所です。

さて、この度は貴社社員〇〇様の了解のもとご連絡させていただきます。〇〇様におかれましては本年〇月より当センターをご利用いただき毎日通所にて復職に向けて体力の向上や職業的な準備の訓練を受けていただいております。現在、貴社を休職中とのことで、当センターのサービスのご案内をさせていただきます。

なお、復職の可否・適否のご判断は貴社の社内問題として認識しております。下記のご案内も貴社のご判断において必要なものがありましたらご活用下さい。以上の趣旨をご理解の上、ご多忙中恐縮ですがご検討いただければ幸いです。

                                敬具

     

                 記

 

 ご本人様のご要望、ないしはご了解を前提に次のようなサービスを用意しております。全て公的サービスであるため貴社における費用負担は一切生じません。

 

 1.ご本人様の現状のご報告をすること

 2.他社での同様の事例についてご紹介すること

 3.復職の場合は職務再設計のお手伝いをすること

 

*ご説明にあたってはスタッフが貴社に伺う、ご来所していただいてスタッフがお伝えする、書面でお送りする等が可能です。

                        以上

 

                       お問い合わせ

                      就労支援員 〇〇 〇〇

                 TEL :04△-2〇1-6△4〇

                 E-mail :〇×□@〇〇△

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 この手紙で大事なのは「復職は貴社の社内問題と認識しております。社内問題に干渉する意思はございません。もし、就労支援の場での現状を聞いてみたいとお思いでしたらご連絡下さい」とアプローチしているところです。

 

 この手紙を出すとおおよそ70パーセントの会社からリアクションがあります。電話やメールで問い合わせがあったり実際にお会いすることもあります。ファーストコンタクトの場に同席を依頼されることもあります。その後の復職の打ち合わせに継続的に関わらせていただくこともあります。

 

 リアクションがあったとしても復職につながるとは限りません。リアクションがなくても復職する方もいらっしゃいます。ただ、リアクションがあった会社とは当方の就労移行支援事業者が復職に関わらせていただいているので復職後に何かあった時にまた関わらせていただくことも可能となります。会社からも頼りにされる関係となる、その第一歩となるのがこの「会社への手紙」です。

「早く復職したい」人への対応の原則

 本人が「早く復職したい」と不安や焦りを募らせている場合、どういった対応が効果がありますか。

 

 会社を休職している高次脳の方の中には、病識の持ちにくさもあって十分な復職の準備もしないまま「早く復職したい」と焦って行動してしまう人がいます。

 例えば、急性期の病院から回復期の病院に移った直後に、「こんなことはしていられない、会社に戻る」と言って病院を抜け出して自宅に帰ってしまう人もいます。

 あるいは休職期間がたっぷりあって支援者は生活訓練を経て就労移行で復職の準備をしてもらおうと考えていても、ご本人は早く復職したくて会社に復職したいと何度も連絡していて会社でも対応に困る人もいます。

 

 「早く復職したい」と焦っている人への対応には原則があります。

 

  1 止めない

  2 会社に連絡をとってもらう

  3 ご本人、会社、支援者の3者で打ち合わせを行う

 

 まず、支援者が止めても効果はありません。支援者との関係を悪化させるだけです。ご本人は先が見えなくて不安にかられて焦っているわけですから、会社に連絡してもらってかまいません。ご本人、会社、支援者の3者が一堂に会して打ち合わせを行うのが一番すっきりします。

 ご本人は今の自分の気持ちを会社に伝えます。支援者からはリハビリの現状と今後の支援プランを伝えます。会社はほぼ支援者のプランに賛成してくれます。会社からは「焦らずにしっかりリハビリをして戻ってきてくれ」と言われます。ご本人はしぶしぶ会社の指示に従います。ご本人にとっても会社の意向を知ることができ、それなりに今後の見通しも持てたので落ち着くことができます。今までの支援の仕切り直しができて復職の準備に取り組めるようになります。

 なかにはご本人ぬきでご家族、支援者と病院、会社で打ち合わせをしたいと言ってくる会社があります。ご本人ぬきではだめです。そんな手間をかけてもよいことはありません。ご本人、会社、支援者の3者が一堂に会して打ち合わせを行うのが一番すっきりします。

 

 

易疲労対策は3本立てで

 高次脳の方の就労準備でまず最初に取り組むべきは易疲労対策です。

その易疲労対策は3本立てで行いましょう。

 

 1 少しずつ負荷をかけて体力、耐久性を向上させる

 2 睡眠、食事などで自律神経を整える暮らしを心がける

 3 自分の易疲労スペシャリストになる

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 1 全体的な体力、耐久性を上げる

 

 発症、受傷から半年近く入院生活を送り在宅に戻られたわけですから、筋力も落ち体力も低下しています。ここから少しずつ負荷をかけながら全体的な体力、耐久性を上げていく必要があります。朝と夕方に散歩をする程度ではなかなか体力、耐久性は向上しません。体力、耐久性をアップさせるにはどこか通う所を作るのが一番です。

 最初は歩行がまだおぼつかない方の場合は訪問リハを使うこともあるでしょう。歩行が自立できたら通所リハに通う場合もあるでしょう。しかし、機能回復訓練だけでは負荷量としては不足しています。

 社会参加をめざすレベルの生活訓練か、就労自立をめざす就労移行支援(近くに就労移行がない場合には就労継続B型)に通うことを私はおすすめします。通勤の練習にもなりますし、1日5~6時間は文化活動や作業活動に参加しながら体力をつけていくことができます。知らないうちに1日8時間働く体力、耐久性をつける訓練になるわけです。

 「どこか通うところを作る」これが易疲労対策の一つ目の柱です。

 

2 自律神経を整える

 

 易疲労は脳のエネルギー問題です。脳のバッテリーが小さくなったり、消耗しやすくなったり、充電しにくくなった状態です。易疲労の症状は眠気、頭痛、肩こり、まぶしさなどで、これは自律神経の不調の症状です。脳は眠っている時でも自律神経を使って生命活動を行って脳のエネルギーを消費しています。

 脳は下の図のように脳のエネルギーを使って①生命活動、②感覚の受容、③感情のコントロール、④認知活動を行っています。高次脳の方の易疲労は④の認知活動によってのみ起っているのではなく、①の生命活動、②の感覚の受容、③感情のコントロールでも起こっているわけです。

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 また、梶本修身『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書、2016年)の中では、ずばり「疲労とは自律神経の機能低下である」と指摘されています。

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 ですので易疲労対策の2本目の柱は「自律神経を整える」です。

自律神経を整える生活で一番大事なのは「睡眠」です。

  『奇跡の脳』(新潮文庫)の著者のテイラー博士も「回復のために必要なこと40」の中で「10 睡眠の治癒力に気づいて」と強調しています。「適切な量の睡眠でバランスをとれば、脳は奇跡的な回復を果たすことができる」(176ページ)と言っています。

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 良質な睡眠をとる方法は本やYoutubeでたくさん紹介されていますので割愛させていただきます。

 自律神経を整える上で二番目に大切なのは「食事」です。食事についても同様に割愛させていただきます。

 

3 易疲労スペシャリストになろう

 

 易疲労対策の3つ目の柱は「自分の易疲労スペシャリストになる」です。

自分はどんな時に疲れるのか、どんな対策をすると疲れを減らせるのか、について知って対策を取れるようになることです。

 当事者の方たちが色々な形でご自分の易疲労や対策を発信されています。また、就労支援施設で行われるグループワークで易疲労について話し合うこともあります。

 一般的には次のような「脳を疲れさせる要因と対策」があります。

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 このような易疲労の情報を参考にしながら、自分の場合は「どんな時に疲れるのか」「どんな対策が効果的か」を研究していかれるといいと思います。