ドラゴン大場オフィス(社労士)ブログ

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           ドラゴン大場オフィス(社会保険労務士)ブログ

 

 プロフィル  高次脳機能障害者の復職や障害年金のサポートを30年以上行う。

  横浜市総合リハビリテーションセンターを経て現在は川崎市北部、中部、南部

 リハビリテーションセンターで就労アドバイザーを担当している。また、発達障

 害者の支援も長く、NPO法人翔和学園で芸能指導や就労支援をしている。1996年

 に社会保険労務士試験に合格、中途障害者の復職や障害年金の相談に乗っている。

 

  Reジョブ大阪との関わり

  2021年~復職教室、2023年4月~『脳に何かがあったとき』コメント担当

 

 著書

 ・『高次脳機能障害のある人への復職・就職ガイドブック』共著、中央法規 2017年

 ・『向山洋一は障害児教育にどう取り組んだか』共著、明治図書、2000年

 ・『発達障害のある子を担任!どんな準備をするか』共著、学芸みらい社、2018年

 ・『自立を支援する社会生活力プログラム・マニュアル』共著、中央法規、2006年

 ・『実践から学ぶ「社会生活力」支援』共著、中央法規、2007年

 

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就労と障害年金の関係

 復職した人が障害厚生年金の申請をする。就労している場合はどんな点を主治医に伝えて年金診断書を書いてもらったらいいのか。ネットの記事を拾って要約してみた。

 

1 障害年金2級と3級の認定基準

 

 まずは2級と3級の認定基準には次のように書かれている。

  • 3級「労働能力が相当程度制限されているもの」
  • 2級「労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」

 

 3級は、精神の障害によって、労働に従事することはできても、その能力が一般の労働者と比較して明らかに低下しており、職場の配慮や制限が必要な状態を指します。フルタイムで勤務していても、業務内容が単純化されていたり、頻繁な欠勤があったりする場合は、「労働能力が制限されている」と評価され、認定される可能性があります。

 

2 精神の障害における判定の目安

 

 認定においては、「日常生活能力」と「労働能力」が総合的に判断されます。

  • 日常生活能力の判定

  診断書にある「食事」「身辺の清潔」などの項目において、ある程度の自立はでき  

  ているものの、一部で助言や援助が必要な状態などが目安となります。

  • 労働能力の判定

  診断書の記載において、労働能力に一定の制限があることが示されている必要があ 

  ります。医師に対し、職場でどのような配慮を受けているか、どのような業務上の

  支障があるかを正確に伝え、診断書に反映してもらうことが大切です。

   また、精神疾患は症状に波があるため、一時的な安定期ではなく、長期的な視点

  での状態像が審査されます。

 

3 仕事の制約と評価の目安

  • 3級(労働能力が相当程度制限)

  一般就労をしていても、職務遂行にあたって職場の配慮(短時間勤務、業務量の調 

  整、配置転換、精神的サポートなど)を受けており、労働能力に相当な制約がある

  状態です。

 

  • 2級(労働能力が著しい制限)

  一般就労が極めて困難で、就労していたとしても保護的な環境(就労継続支援A型

  など)や、極めて手厚い配慮下での短時間就労に限られる状態などを指します。

 

4 「相当程度の制限」の具体例

  • 一般企業で勤務しているが、病状により残業が免除され、定型的な業務しか担当できない。
  • 休みがちであり、上司や同僚からの頻繁な声掛けやサポートがなければ業務が完遂できない。
  • 対人業務が困難で、人との接触が少ない部署へ配置転換されている。
  • 障害者雇用枠で採用され、業務内容や勤務時間が限定されている。

 これらの制約がある場合、単に「働いているから受給できない」と判断するのではな

 く、その中身(質や配慮の有無)が審査されます。病歴・就労状況等申立書には、こ

 れらの事実を具体的かつ客観的に記載することが求められます。

 

会社に会う前に整理しておくこと

 会社を休職している人が来月に会社と復職の話をすることになった。会社の人とどんな話をしたらいいのか。私は次のような項目で整理しておくことを助言している。

 

 

       会社と会う前に整理しておくこと 

 

 1 後遺症の影響

  • 体力・集中力
  • 身体的な影響(麻痺など)
  • 高次脳機能障害の影響

 

 2 会社でできる業務と苦手になった業務

  • できる業務
  • 苦手になった業務
  • 職場で配慮してほしいこと

 

3 復職したい時期

 

4 受け入れられる復職の条件(配置転換、降格、嘱託契約など)

休職者の就労移行支援の利用 企業の承諾書

2024年5月、休職者が就労移行支援を利用して復職支援を受けたい。相談支援事業者が役所に受給者証をお願いした。役所から企業からの文書の提出を求められた。 こんな相談を受けた。4月からの変化であること、下記の3月29日付けの通達を一緒に確認した。「雇用先企業からの資料」が必要となったのだ。

 

画像

 

 この企業からの承諾書の書式は厚労省から示されていない。それぞれの自治体が苦労して作成して使っている。私がネットで検索したところ、次の自治体の書式が簡便でいいと思った。

 (1)豊島区

豊島区 

 (2)名古屋市

名古屋市


 

 

 

 

ブログ記事一覧

 

 

18 就労と障害年金の関係 260603
17 会社に会う前に整理しておくこと 260603
16 休職者の就労移行支援の利用 企業の承諾書 260602
15 職場で現れやすい高次脳の後遺症 230115
14 9月は就労移行支援にとって特別な月 220905
13 復職支援に関わる重要な3つの通達 220902
12 復職教室のレジメ 220831
11 復職支援 会社あての手紙 220603
10 「早く復職したい」人への対応の原則 220403
9 易疲労対策は3本立てで 220320
8 なぜ易疲労対策から始めるのか 220313
7 高次脳の後遺症を知ろう 220311
6 模擬会議 議事録の精度をあげる 220227
5 会議の場で現れる高次脳き 220225
4 高次脳のある人の新規就労の課題と支援(全2回)オンライン講座 220221
3 高次脳機能障害の気づきを促す模擬会議プログラム(1) 220220
2 脳卒中や交通事故で会社を休職中の皆さまへ 220205
1 コンサルなき退院 220203

職場で現れやすい高次脳の後遺症

 私は高次脳の方に向けて「復職教室」や「グループワーク」のプログラムを行っています。その中で以下の表をお見せして「高次脳の方が職場に戻った時に現れやすい症状がいくつかあります。人によって現れる症状は違います。ご自分にも起こりそうだなと思うものがありますか。当てはまりそうなものに〇をつけて下さい」と考えていただいています。

 

  表 職場で表れやすい症状(高次脳による支障)  

                  ※人によって様々です

 

  ① 聞いたり話したりすることが苦手になる

  ② 同じことを何度も聞く

  ③ 大事なアポを忘れる

  ④ ミスをくりかえす

  ⑤ 仕事が遅くなる

  ⑥ 同時に複数の仕事をこなすのが苦手になる

  ⑦ 仕事の段取りや計画をたてるのが苦手になる

  ⑧ 臨機応変な対応が苦手になる

  ⑨ 検品や細かい確認作業が苦手になる

  ⓾ 疲れやすくなる

  ⑪ 怒りっぽくなる、泣きやすくなる、落ち込みやすくなる

  ⑫ 相手の気持ちをさっするのが難しくなる

  ⑬ 左側を見落とすことがある

  ⑭ 数字を間違えやすくなる

 

 人によって5つ選んだり1,2つ選んだり反応は様々ですが、「3つにしぼって下さい」とお願いしています。なぜそう思うのか、エピソードも語っていただきます。作業場面でこんなことがあったとか、家でこんなことがあったと具体的な例をあげていただきながら話していただきます。

 

 ご家族が一緒に来ていたら、ご家族にも答えてもらっています。私たちは、ご家庭での様子を知らないので、そういう意味でとってもいいんです。

 

 グループワークですと、他の人の発言から自分にも思い当たることがあるとか、話が広がっていきます。

 

 職場に戻った時に自分にどんな後遺症が出てきそうかを考えてみる。いきなり「どんな後遺症がありますか」と聞くよりも上の表のように具体例を示しながら聞く方が考えやすくなります。そして考える材料は日常生活や作業の中での経験です。

 自分にも仕事上で何か問題が起こりそうだと予想ができると、その対策方法を知りたいとか、対策方法を身につけたいと思うようになります。何らかの準備をしてから復職をしようと思うようになります。

9月は就労移行支援にとって特別な月

「9月末までになんとか一人は就職させてください」

就労移行支援で働いている人は管理者からこんなプレッシャーを

かけられることもあるでしょう。

 

なぜ9月末までなのか?

    なぜ就職者を出さないといけないのか?

 

来年の就労移行支援の基本報酬が9月末までの就職者数で決まるから

就職後6か月以上定着した者の数で来年の基本報酬が決まる。10月から

3月までで6カ月、10月就職では3月までで5カ月なので日数が足りない。

だから来年度の基本報酬は9月末までの就職実績で決まるルールだ。

 

令和3年の改訂で「前年度の」就職実績から「直近2か年度の実績」に変更

されたが9月の重要度は変わっていない。

就職者数によってどのぐらい基本報酬に差が出るのか?

 

定員20名の就労移行支援事業所で調べていこう。

単位は1級地から7級地、その他の8区分がある。例えば、東京23区は1級地で1単位が11.18円、町田や横浜は2級地で10.94円、その他は10円である。単純に考えるために1単位10円で考えていこう。

上の図で20人定員の就労移行支援では5割以上は10人の就職、0割で0人ということになる。就職者0人では来年の基本報酬(利用者1人が1日通所した時の報酬額)が4680円、

2人就職で5570円、4人で6900円ということになる。10人で11280円。0人と10人では実に2.4倍の差を付けている。

 

毎日20人が通所して1か月20日開所していたとして月間の基本報酬を計算してみよう。

   468単位の場合:4680×20×20=187万2千円

  1128単位の場合:11280×20×20=451万2千円

 

私の経験ではコンスタントに1年で4~5人就職させていくことはかなり頑張らなければならない。1年で2~3人の就職を目指すのが無理のない取り組みだろう。施設運営的には7000~8000円の基本報酬が欲しいところだろう。

 

 

B型よりも低い就労移行支援の報酬設定はペナルティか

 

気になるのは就労移行で就職者0人や1人の場合の基本報酬がB型よりも低いことだ。

定員20名の就労継続B型の基本報酬は以下の表のようになっている。

B型の40%は工賃1万円未満、約25%が1万円以上1.5万円未満だ。

B型は566単位や590単位の所が多いということになる。

一方で就労移行支援事業所では0人:468単位、1人509単位、2~3人で557単位。

4~5人でようやく690単位でB型よりも高くなる。1年で3人ぐらいしか就職させられない就労移行支援事業所はB型に代わったらどうですかと言われているようなものだ。

 

日本の福祉サービスに導入されたインセンティブ

 

私が障害者福祉の世界に入ったのが1983年だった。当時は措置費の時代で施設体系も更生施設、授産施設、福祉工場に分かれていた。施設定員にお金が支払われる時代で、通所施設では来ても来なくてもお金が支払われた。障害者を社会に出している施設も何もしていない施設も入ってくるお金は同じだった。

 

私が衝撃を受けた挨拶をした厚労省の課長がいた。1988年1月の全国施設長会議で当時の障害福祉課長の浅野史郎氏が次の発言をしたのだ。

 

「1年間に施設から社会に出る人は100人に1人、1パーセントにすぎない。あなた方は専門家として恥ずかしくないのか」

 

私は「よくぞ、言ってくれた」と胸がすく思いだった。しかし、施設の仕組みが変わるのには更に長い月日が必要だった。

 

2003年に支援費制度になり、2006年から自立支援法となった。施設体系は日中活動と施設入所に分かれ、更生施設は生活介護と自立訓練、授産施設は就労移行と就労継続B型、授産工場は就労継続A型となった。

 

そしてついに障害福祉の世界にインセンティブが導入された。

①来た利用者にしかお金は出さない

②就職させたらお金を加算する、逆に就職させないと減算する

 

厳しくなる就労移行支援の運営 

 

私はフリースクールの卒業生が利用する就労移行支援支援にアドバイザーで関わっている。プラスとマイナスのインセンティブをかけられた就労移行支援の運営は大変だ。

さいわい経営陣が経理を公開して「〇人就職させないと赤字に転落する」とか発信してくれているので、運営の目標が共有されている。

 

就労移行の適性規模も検討して20人定員から減らす対策も取っている。B型も合わせて運営している。就職の準備の整った利用者から実習や職場見学、面接練習を行うようにしている。スタッフにとっても無理のない目標、1年に2~3人の就職をめざしてアドバイスをしている。